東京都は、23区内で高騰している火葬料金の問題を解決するため、火葬場を監督する区と連携し、料金の安定化を目指す方針を明らかにしました。
全国の火葬場の多くは公営で、中には火葬料を無料とする自治体もあります。しかし、東京23区では歴史的な経緯から、火葬場のほとんどが民営で、火葬料が9万円にも上る状況です。都は今後、火葬場への指導を強化し、都民の負担を軽減したい考えです。
突出した23区の火葬料金
総務省の小売物価統計調査(今年4月時点)によると、札幌市や宇都宮市を含む全国9つの道府県庁所在地では、火葬料が0円となっています。有料の場合でも、津市の3,000円から鳥取市や那覇市の25,000円の範囲に収まっており、23区の料金がいかに突出しているかがわかります。
これまで都は、墓地埋葬法に基づく指導監督権限が23区にあるとして、民間の火葬料金高騰への対応には慎重でした。しかし、都内の死者数が増加傾向にあり、団塊の世代の高齢化も進む中、都の幹部は「積極的に関与する必要がある」と判断しました。
小池知事の表明と今後の展望
小池百合子知事は、24日に開会した都議会定例会で「安定的な火葬体制の確保が重要」と述べました。さらに、「区市町村と連携し、料金を含む火葬場の経営管理に対し、適切な指導が行えるよう、法の見直しを国に求めていく」と表明しました。
また、火葬場の実態調査や火葬能力(1日あたりの火葬可能件数)の強化にも言及しており、将来的には炉の増設も視野に入れているようです。
23区の火葬場が抱える事情
火葬料金が高いのは、民間の火葬場が多い23区特有の事情が背景にあります。
厚生労働省によると、昨年3月時点で稼働中の全国1,364施設のうち、公営が97%を占め、公費を投入することで住民の負担を抑えています。一方、23区で公営の火葬場は、都営の江戸川区と、大田区など5区が共同運営する大田区の2施設しかありません。
全9施設のうち、7施設を民間事業者の「東京博善」(6施設)と「戸田葬祭場」(1施設)が経営しており、これらの事業者は近年、燃料費や人件費の高騰を理由に値上げを実施しています。
火葬場の経営には、1948年に制定された墓地埋葬法に基づく自治体の許可が必要です。国民の宗教的感情や公衆衛生の観点から、国は火葬場の「永続性と非営利性」を求めており(旧厚生省通知)、許可の対象を自治体や宗教・公益法人に限定してきました。民間業者に新規許可を出す場合は、「料金変更には首長との協議を要する」といった条件を自治体が付けることが可能となっています。
